Nikko-Kikai(日光機械)

省エネ機種比較表(やさしく解説・詳細版)

「どの機械が電気を食うの?」「カタログの数字はどう見る?」――初めての方にも分かるよう、省エネの考え方比較のコツを丁寧にまとめました。

目次
  1. まずは基本:kW・kWh・kVAの違い
  2. カタログの見方(MC/NC旋盤)
  3. 旧型 vs 最新省エネ機:数値比較
  4. 運用で効く省エネ(すぐできる)
  5. GX(CO₂換算)と社内説明の勘所
  6. 機種比較チェックリスト
  7. よくある質問

1. まずは基本:kW・kWh・kVAの違い

kW(キロワット)=瞬間の「力」

いまこの瞬間にどれだけ電力を使っているか。
例:加工中は10kW、待機中は2kWなど。

kWh(キロワット時)=積み重ねた「量」

電気代はこのkWhに単価を掛けて決まります。
例:10kWで1時間使うと10kWh。

kVA(見かけ電力)=設備の「器の大きさ」

最大負荷の目安で、契約電力の検討に使います。
平均kWに換算するには、力率(PF)を掛けます。

目安:平均kW ≒ kVA × 力率 × 稼働率

※ 力率は0〜1(例0.85)。稼働率は最大負荷に対する平均の割合。

2. カタログの見方(MC/NC旋盤)

マシニングセンタ

項目意味省エネの読み方
所要動力源(kVA)最大負荷の器契約電力の目安。大き過ぎに注意
主軸電動機(例 26/22kW)短時間/連続定格連続側で評価し過剰ピークを抑制
送り軸電動機(X/Y/Z)各軸サーボの定格加減速/回生の最適化余地

例「26/22(30分/連続)」:省エネ検討は連続を基準に。

NC旋盤(複合含む)

項目意味省エネの読み方
L側主軸主軸(左)出力切削条件の見直しで負荷低減
R側/サブ主軸副主軸の出力同時運転率の管理でピーク平準化
回転工具主軸ミーリング用主軸使用時間短縮・適正回転/送り

複合機は同時使用率がキモ。段取り/プログラム最適化でピークを平準化。

3. 旧型 vs 最新省エネ機:数値比較

観点旧型機(例)最新省エネ機(例)効果イメージ
待機電力2.5 kW1.2 kW▲52%
加工時平均12.0 kW9.5 kW▲21%
月間消費電力5,800 kWh4,300 kWh▲26%
補機制御常時ONインバータ+自動制御ON時間削減
回生機能なし/限定標準/強化損失低減
読み方:「待機」「補機」「回生」「制御最適化」の4本柱で、同じ生産量でも電気代を下げられるのがポイントです。

4. 運用で効く省エネ(すぐできる)

① 待機の自動停止

無加工時間に自動で停止/低電力化。
「いつの間にかON」が消えます。

② エコ運転・段取り見直し

夜間電力の活用や、同時使用率の見直しでピークを平準化。

③ 補機のインバータ化

クーラント/エアの流量とON時間を最適化。
“見えない電力”を削減。

④ 加減速の最適化

過度な高速化が必ずしも得ではありません。
加工品質と電費のバランスを最適化。

5. GX(CO₂換算)と社内説明の勘所

削減電力量(kWh/月)CO₂削減(t-CO₂/年)メモ
500約2.4排出係数0.4 kg-CO₂/kWhの例
1,000約4.8同上
1,500約7.2同上
社内説明のコツ:「電気代」+「CO₂削減」の二軸で効果を示すと、投資判断が進みやすくなります。

6. 機種比較チェックリスト

項目確認メモ
所要動力源(kVA)□ 低め □ 標準 □ 高め
待機電力(kW)□ 低い □ 標準 □ 高い
補機制御(インバータ・自動停止)□ あり □ なし
回生機能□ あり □ なし
同時使用率の最適化余地□ 大 □ 中 □ 小

7. よくある質問

Q. カタログにkVAが載っていない場合は?
主軸(連続kW)を基準に、補機を上乗せ、効率/力率で換算して概算します。最終判断は銘板・実測が原則です。
Q. 連続と30分定格はどちらを見る?
省エネ評価は連続定格を基準に。30分は短時間ピークの余裕度確認に使います。
Q. 運用改善だけでも効果はありますか?
待機制御/補機インバータ/同時率最適化など、更新せずに下げられる項目があります。